個の境界を消失させる統合プログラム
二人の作家が「一人」になるための装置として、会場にはそれぞれの身体を収める二つの木製ブロック(棺桶)が設置されました。棺の内部には、それぞれの作家が持つ「個人的な思い出」の映像が絶え間なく流れています。鑑賞者、あるいは作家自身がこの棺に身を横たえるとき、視覚と聴覚は他者の記憶によって占拠されます。それは、自らの過去を他者の記憶で上書きし、個の境界を融解させる「洗脳」のプロセスです。西岳がこれまで扱ってきた、物質や場所の「皮膚(境界)」というテーマが、ここでは「記憶」という内面的な領域へと拡張されています。相手の思い出に浸食され、自己が他者へと変容していく不可逆的な時間は、個別の身体を超えた「人格統合」という極めて不合理で実験的な美しさを提示します。

木、モニター
2000×600×800mm
2012年



