無の集積、あるいは彫刻言語の解体と継承
「無」という構造は、日常のそれとは異なる、純粋な視覚的・感性的意識を呼び覚ます。 現代芸術においてカテゴリーの境界が消失し、一時的な流行が溢れる中で、私はあえて「彫刻」が本来持つ造形言語——量感、立体感、質感、構造、生命感——を継承することの重要性を問い直している。
あらゆる解釈を許容しながらも、なお作品が失わない「統一性」とは何か。 私は彫刻の造形言語を一度「無」に帰すことで、逆説的に量感や生命感を、より強固な意識へと転換させることを試みた。「積まれた人体」というモチーフにおいて、羊毛の固まった質感と、物と化した身体のイメージをリンクさせ、死という記号を記号的に継承する。 無へと還元された要素を積み上げ、そこから新たな一なる意味を立ち上げること。それが私の彫刻における「無」の実践である。

羊毛、膠
1000×2500×2500mm
2008年


