素材との対話による境界の生成
羊毛と膠を用いて、身体のような塊を反復的に積層する彫刻作品。素材との対話を通して、物質が持つ重さや時間性、身体性に着目し、形態が生成されていくプロセスを探った。 樹脂で固定すれば容易に形態を得ることもできるが、本作では羊毛の柔らかさと膠の接着性を拮抗させることで、身体の皮膚のような境界を立ち上げている。膠は皮膚と肉を繋ぐ成分としての性質を持ち、両者を媒介する素材として機能する。 重力によって変形し続ける不安定な状態の中で、素材同士がせめぎ合いながら関係を結び、その均衡の中で形態が生成される。本作は、素材を制御するのではなく、その関係の中に身を置くことで立ち上がる、対話的な制作の実践である。

羊毛、膠
1000×2500×2500mm
2008年


